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2003年02月18日

9日目 ポカラ

6時半起床。外に出てみるが天気が悪くてヒマラヤ見えず。ふて寝する。
10時ごろ起きて本を読む。
どっかのレストランでエッグカレーを食べたら
食後腹痛になりダッシュでホテルに戻る。
下痢かと思ったが層でもなかった。
ホテルには連泊することにする。
昨日相当汗をかいたので洗濯をすることにする。
8ルピーで買った石けんだが、汚れは結構落ちる。
とおもったら大部分はズボンが色落ちしているだけのようだった。

勢い余ってズボンの中の財布まで洗う。
気付いて速攻で引き上げて渇かす。無事だった。
部屋干しして、本を買うのと滝を見る為に外に出る。
ヒマラヤは相変わらず見えない。

歩いているとロバだか馬が草を食べている。
そのロバだか馬を追っている、ペーター的人物に出くわした。
2、3会話をして別れる。

話して気付いたが、どうも昨日の一件から
若干人間不信になっているらしい。
ネパールの人から見れば、僕は大金持ちで、
ネパールでは数ヶ月何不自由無く暮らせるだけの金を持ち歩いているのだ。
ものをねだられるのも当然と言えば当然だ。
そういう人たちに対して笑顔を振りまく行為は、
思わせぶりな態度となってかえって失礼なのではないかと思うようになった。
しかし何より失礼であるのは、僕が今こんなことを考えているからだろう。
全てのネパール人を、そういう色眼鏡を通してみてしまう。
いろいろな人に出会っていろいろな目に遭い、
このような境遇に至ってしまった。考え過ぎだろうか。
僕は観光客ではなく、一人の人間として旅行をしたいと思っていたのだが、
どうやらそれは無理なんじゃないかと思い始めている。
僕がどれだけそういう気持ちでいても、どんな汚い格好をしても、
ネパールの人から見れば僕はただの金持ち観光客なのである。

そんなことを考えながら歩く。もうすぐ川が見えるはずだ。
あそこまでいけば、着いた、いやまだだ、目の前には段々畑。
道を間違えて誰かの畑に迷い込んだと見える。
ペーターがもう一人いた。こんどのペーターは小さい。
ペーターに不審がられながらも半ばヤケクソで進む。
おじさんが遠くから声を掛けてきた。「Where you go」といってくる。
パタレチャンゴですというと、こっちだ日本人いい、
僕が今進んできた道を指差している。オイオイ、戻る。
小雨が降ってきた。さらにちょっとしんどい。
腹が減っているのもあるが、しんどい。

根性が無いのでパタレチャンゴはあきらめてホテルに帰ることにする。
明日もこっちにいるのでリベンジを誓う。
戻る。遠い。
帰りがけに本屋で「嵐が丘」という小説を購入。
ちょっと読んでみたら相当暗い小説だ。
しかも外国小説にありがちな
「おお、神よ!」
といった、日本語にすると不自然すぎるようなフレーズが満載で、
どうも好きになれそうにない。

湖のほとりに屋根付きのベンチがあったので座って黄昏れていると、
バイクに乗った兄ちゃんがやってきた。
バイクでポカラ観光名所ツアーに連れてってやるという。
ダンプスという、ちょっと遠いけど見晴らしの良い場所にも
連れて行ってくれると言う。

ダンプスは確かに綺麗だけど、それは歩いて行くから綺麗に見えるのだと思う。
それをバイクで行くことで、美しい景色を美しく見られないのは、
かえってもったいないことだ。

ということを英語で説明して断ろうと思ったが、うまくいかない。
それでも断っているのは伝わったらしく、
兄ちゃんはあきらめて世間話をし始める。
「アメリカは好きか」「中国はいい国だと思うか悪い国だと思うか」
といった二者択一の質問を連発してくる。
はい、いいえで答えられるほど単純な問題ではないので困った。
雨が強くなってきたので帰宅する。

ホテルに戻って読書。
読めば読むほど気分が塞がるがそれでも読んでしまう「嵐が丘」。
その後インターネットをしに昨日行った店に行くと女の子が対応してくれた。
彼の妹だろう、目が似ている。
飯を食って帰るとメガネが無いことに気づく。
インターネット屋さんに忘れたっぽい。
戻ってみるが既に店は閉まっていた。明日またこよう。

ホテルに戻るとオーナーらしきおばちゃんにまあ座れと言われる。
おばちゃんは日本を周遊したことがあるらしい。マニアックな地名を挙げていた。
そこにホテルの兄ちゃんが加わる。左手薬指に指輪をしている。
恋人がいるのかと聞いたら、いると言った。
しかも日本人らしい。トレッキングで知り合ったらしい。
あんたプレイボーイやな、といったら照れて否定される。

おばちゃんが電話している間に兄ちゃんに再びバイクツアーに誘われる。
今夜考えると言って先送りにする。
会話が途切れたので部屋に戻る。
電気を点ける。消えた。停電かと思ったが、他の家には明かりがついている。
ヒューズとんだか?
おばちゃんに言いに行こうと思ったが、
洗濯物を乾かす為に昼中ずっとファンをまわしっぱなしにしていたことを
怒られたら嫌なので黙っていることにする。
暗闇の中で空想に耽っていると、外が騒がしくなってきた。
スイッチをパチパチする音とおばちゃんの叫び声が聞こえる。
部屋が明るくなった。でももうファンをまわすのはやめておこう。
自然乾燥で乾かす。

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