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2006年08月17日

大物と小物の分かれ道

始業時間ギリギリを狙って出社するダメ社員である僕は、
盆の休日ダイヤと平日ダイヤを把握していなくて、
遅刻しそうになった。

閑散とした更衣室で着替えをしていると今にも工場名物ラジオ体操が流れ出しそうな勢いだったが、
半ば開き直って重役の雰囲気を醸し出して更衣室を出ようとしたら、
本物の重役に出くわした。

その方には以前から、
3交代勤務の休憩時間に事務所で居眠りしているところや、
事務所内を無意味にダッシュするところを目撃されてはたしなめられており、
どうも恐縮してしまうのだが、
また気まずい場面で出くわしてしまった。

重役氏はちょっと驚いたような顔で
「何だオイ、何してんだ」
とおっしゃる。

既に蛇ににらまれた蛙さながらの僕は、
外国人が見たら苦々しく思うであろう、謎にニヤニヤした表情を浮かべ
「いや、あのーすいません」
と意味不明の謝罪をしてみたが、
ふと、「あれ、この人も遅刻しそうなんちゃうか」という疑念が頭をよぎった。

しかし今にも説教されるんじゃないかという強迫観念にかられた僕は
挨拶もそこそこに、階段を一段飛ばしで駆け下り、ダッシュで現場に向かった。

昼食後、事務所を訪れた重役氏に、
階段を一段飛ばしで駆け下り、ダッシュで現場に向かい、横断歩道を横切らなかったことを
注意された。

結局、やっぱり重役氏も遅刻しそうだったんじゃないかという疑念を解消できないまま、
悶々としながら帰路についた。

多分、豊臣秀吉とか諸葛孔明だったら、あんなときに
「確かに私は遅刻しそうです。しかし貴方も遅刻しそうだ。そんなときにこんな遅刻をしかけてものうのうとしている一社員に話しかけるのは時間の浪費だと思うがその心如何」
とか
「この逼迫した生産状況で遅刻をするとは、これ豪傑の証であること越後湯沢の白桃のごとく明白なり。遅刻の言い訳をこの豪傑二人で検討すること、これ即ち企業の繁栄の第一歩なり」
とかいって、相手の心に入り込み、天下に出る足がかりとしたのだろう。

このあたりが大者と小者の別れるところだと感じた。

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