2007年05月24日
再会
先日、大学関係のとあるシンポジウムに参加した。
勢い余って懇親会にも参加してみたら、
ほとんどが年配のお偉方で、
少数の若手に知り合いがいるはずも無く、
完全に難民と化した。
これはもう、払った懇親会費3000円は
食事でモトをとるしか無いと、
料理のあるテーブルに張り付き、ひたすら食べていると、
僕よりも高速に食べつづける一人の男を発見した。
僕はおやっと思った。
彼は、僕の大学時代の知人だった。
僕が大学で出会った、一番の奇人である。
ちまたでは「いかにも京大生」な人間のことを
「イカ京」と呼ぶらしいが、
彼はその中でも、
「スーパーサイヤイカ京」と呼んでもいいくらいの人物だった。
ネルシャツをストーンウォッシュのジーパンの中にしっかりと入れ、
稲中卓球部に出てきそうなその顔立ちからは、
他者を寄せ付けない独自の個性が強烈ににおいたっている。
彼とは学部時代の英語の授業で知り合った。
授業のはじめに、お互いに英語で自己紹介をすることになり、
僕は彼とペアになった。
僕はまず、
「What is your hobby ?」
とかなり無難な質問で様子をうかがおうとしたのだが、
彼は4秒ほど沈黙した後、
「いや、そういうプライベートなことには答えられないな」
と、小さい声で、日本語で、答えた。
こいつは凄い、と思った。
先生に英語で話しかけられた時も、
何か良く分からない日本語をボソボソとつぶやいて
返答すらしないときもあるという
新時代のコミュニケーション感覚を持った人だった。
その彼が目の前にいる。
僕は難民が自分一人ではなかった安堵感と、
思い出深い同胞に出会えた嬉しさで、
胸がいっぱいになった。
彼の食事を妨げるのも申し訳なかったが、
早速彼に話しかけてみた。
「あのー、○○君ですよね、可知です、僕のこと覚えてます?」
「・・・えー、いや、覚えてません」
「あ、そうですか、まあいいんですよ僕のことは。
えーと、今はあれですか、ドクターですか?」
「・・・修士ですけど」
M4らしい。いきなり墓穴を掘ってしまった。
僕はしまったと思い、
「今はどんな研究しているのですか?」
と理系大学院生として非常に無難な質問で
場をつなぐことに成功した。
そこから、色々と話を聞いたが、
どうしても気になることがあり、
思い切って聞いてみた。
「将来はどうするんですか?」
彼は分からない、と言った。
去年に一度就職活動をして、
某電子部品メーカーに応募をしたが、
「君は企業よりも国立の研究所みたいな所の方が向いている」
と言われ、断られてしまったらしい。
企業の気持ちも分からないでも無い。
テーブルの食べ物はほとんど無くなり、
彼はフルーツに手を付け出した。
僕も彼も似たようなもんだなあと思った。
社会の波にうまく乗れないという点で同じだ。
僕はなんとかして波に乗ろうとじたばたしているのだが、
彼の場合は悠然と波の中で漂い続けている感じだ。
僕はなんとかしてこの同胞を
社会のビッグウェーブにのせたいという気になり
おせっかいにも、彼が活躍できそうな組織を
色々と上げてみた。
「つくばに独法の研究所がたくさんあるから、調べてみれば?」
とか、
「けいはんなのATRとかってどうよ?」
とか、色々と情報を提供してみたが
彼はそのどれにもノーリアクションだった。
しばらくして、ばからしくなり、やめた。
彼には彼の考えがあるに違いない。
このままマイペースで突き進んでもらおう。
彼は何かの拍子で、凄い人物になるだろうと思うが
現状ではその確率はかなり低いと見ている。
彼が生きている以上は、僕も何とかやっていけるだろうと、
そういう失礼なことを思った。
懇親会は閉めの時間となり、今回の主役らしき人物が
挨拶をした。
「料理、なくなっちゃいましたね」
と僕がいうと、彼は
「・・・いや、まだあります」
といった。
見ると彼は揚げ物なんかの下に敷かれている
レタスみたいな野菜を食べまくっていた。
もしかしたら彼の方が社会適応力が高いかも、という
少し不安な気持ちを胸に
僕は彼に別れを告げた。
彼の今後に注目したい。
ちなみに、会話の途中で彼に
「普段はどんなテレビ番組をみてるんですか」
と聞いたら、やっぱり
プライベートなことは答えられない と言われた。
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- at 00:58



comments
そんな感じの風景を
ドラマチッックに彩れる
かちくんが素敵です.
しかし・・・・・
国立研究所やATRをなんだとおもってるんだぁぁぁー!
そんなダウナーばっかり送り込まないでくれー
アッパーのみの国立研究所とかないんですかねえ?
まあ,現在のK研はカナリの率でアッパーなんでよいのですが.
ポテンシャルアッパー(?)である彼が、
そのポテンシャルを開花しうる場所が
僕があげたような場所だと
思っていたのですが、
確かに、研究者=部屋にこもって実験
という古い概念にとらわれていたと感じました。。。
適材適所、難しいですね。。。
彼の進路は再考したいと思います。
おもろい!