京都の新京極通を歩いていたら、
女の子がハガキを配っていた。
何気なく手に取ったら、
「あっ、お兄さん、これ2枚組なんです。
もう1枚どうぞ」
と女の子に呼び止められた。
女の子が何種類かのハガキを見せてくれたので、
「じゃあこれください」といってもらうと、
「お兄さん、渋いですね!
じつはこの絵、版画なんですよ」
普通の水彩画みたいで、版画には見えず、
素直に驚いていたら、
「あのう、このギャラリーの中にこの絵があるので
良かったら見て行きませんか?」
と声をかけられる。
アメックスに引き続き、また引っかかった。
失意を胸にギャラリーの中へ入ると、
「じゃあすいません、ここに名前と住所と電話番号を
書いてください」
と言われる。
何でやねん。どんだけ個人情報さらすねん、と思ったが、
書いてしまった。
その後、女の子は自己紹介をしながら
上着を脱ぎだした。
赤いタイトなニット姿になる彼女。情熱の赤だ。
彼女はその赤いニットに勝るとも劣らない情熱的な視線を僕に向けつつ、
僕をギャラリーの奥へと誘った。
僕は絵の前に立たされて、彼女は説明をはじめた。
その話によると、ギャラリーの絵はシルクスクリーン版画
という技法で書かれたものらしい。
詳しくは良く分からなかったが、
とりあえずシルクの布かなんかをふんだんに使いまくって
描かれるのだそうだ。
ニットの彼女はしばらく一生懸命説明をしていたが、
突然、その後ろからスーツ姿の女性が登場した。
ニットの女の子はその瞬間に説明を止めて
何の挨拶も無く立ち去って行った。
おそらく、ニットの彼女はアルバイトで、
客をデート気分にさせ、客をギャラリーの中に引き込むまでが仕事で、
その後の営業は、おそらく社員であろうこの女性が担当するのだろう。
女性はこの版画がいかに貴重な絵であるかを話しつつ、
しきりに僕をギャラリーの上の階に連れて行こうとした。
多分上に行ったら個室があり、そのテーブルに座らされるのだ。
そしてそのテーブルの向こうにはうさんくさいオッサンがいて、
ひたすら営業トークを聞かされることになるだろう。
めんどくさいので、
「こんなでかい絵を6畳一間の部屋に飾ったら意味不明なので
買いません、すいません」
といい、退出した。
自分ではそんなつもりは無いのだが、
キャッチセールスに引っかかりやすいのかなあ。