2006年02月05日
連載小説 愛の流刑地 6
「ここまでくれば、もう大丈夫だろう」
棒のようになった足を引きずりながら、いつのまにかレンタルビデオショップに紛れ込んでいた。
目に留まったものから2,3本、気まぐれにビデオを取り上げると、おもむろにレジへと向かった。
「すいません、返却はいつにしますか?」
無駄に綺麗なキューティクルを見せつけながら、長髪の店員が言った。
ふいに中井は、パラパラの曲をリクエストして、この店員がどれくらい和田サンに近づきつつあるかを確かめたい衝動に駆られたが、平常心を取り戻し、店員にこう告げた。
「僕の髪が肩まで伸びて 君とおんなじになったら返却します」
店員は一瞬虚をつかれたれたような感覚に襲われたが、平常心を取り戻し、店員にこう告げた。
「失礼ですが、お客様の髪は紆余曲折視ながらも水平方向に伸びていらっしゃるようなので、
いつまで経っても肩には届かないと思うのですが」
してやられた、と、中井は思った。
今ここに和田サンがいたのなら、どちらに大量の酒を飲ませるかは一目瞭然なのであった。
<終わり>
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