• 著者: 桐野夏生
  • 読んだ感じ: 1 (1-3)
  • 読んだ時期: 2025年1月

 

マッツ夢野は近親相姦とか陵辱とかいった類の大変際どい小説を手がける女性作家で、ある日政府関係の団体から謎の召喚状が届く。読者から小説の内容に関して苦情が来ており、研修プログラム的なものに参加しろという。訝しみながら目的地を訪れると、マッツ夢野はそのままその施設に拘束され、自由のない生活を送らされる。召喚の目的はマッツ夢野の思想の転向であり、その生活は戦争中の政治犯の収容施設みたいな感じのものであり、マッツ夢野は表現の自由を守るために色々がんばる。

 

マッツ夢野の精神状態が不安定で行動に一貫性が無く、読んでいてよく分からない。表現の自由を守るために施設長にさんざん毒づいていると思ったら、次の瞬間に手のひらを返すように何でもするから拘束はしないでくれと懇願するような感じであり、感情移入ができなかった。

 

著書の発表当時に、ヘイトスピーチ対策法案が制定されて、その関係で表現の自由が失われるのではという警告として作られた小説であると思われる。