• 著者: 桐野夏生
  • 読んだ感じ: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2025年1月

 

安保闘争とかで社会が色々と荒廃していた1970年代に生きてた、大学生の三浦直子の話。当時は男尊女卑がまかり通っていて、直子は男の理不尽なマウントに苦しめられている。周りの男は酒とタバコと麻雀に溺れるか、安保闘争で派閥同士の不毛な殺し合いに勤しんでいる。直子はそういう男たちを嫌悪しながらも、その一方で男への依存も捨てきれずにいる。家族への反発とか、身近な人間の死とかを経て、直子が少しずつ自分の生き方と折り合いをつけていく様子が描かれている。

 

全員タバコ吸いまくりで、当たり前のように吸い殻やらマッチをポイ捨てしており、2025年は良い時代だなと思った次第である。

 

話の途中で、左翼の学生が自殺するのだが、その遺書の中に、「生の対義語は死ではない、思考停止だ」みたいな感じの一文があり、それがかっこよかった。