• 著者: 桐野夏生
  • 読んだ感じ: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2025年1月

 

開業医である川辺康之は、勤務医である妻のカオルに対し、医師界のヒエラルキー的な観点で劣等感を感じているとともに、浮気もされている。そんな感じの負の感情がどういうふうに作用したのか分からないが、夜な夜な周囲を徘徊して、一人暮らしの女性の部屋に忍び込み、スタンガンと睡眠注射を使って昏睡レイプをはたらいている。

 

レイプの被害者である女性たちが、たまたまネット掲示板で知り合ったりして、犯人を探す活動を始める。川辺は、女性側には記憶がないのだからバレるはずがないと高をくくっているのだが、無駄におしゃれな服装や、医師にしかできない注射の所作などが女性の記憶にとどまっていて、少しずつ追い詰められていく。というか、4回目の犯罪を犯して家に帰ったときに、なぜか動揺して服を着たままシャワーを浴び、カオルに不信感をもたせることになる。

 

川辺は川辺で、カオルの浮気相手を見に行ったり、経営する病院で患者と看護師をないがしろにしたりするなど、破滅的な行動を繰り返す。最終的に、病院に被害者が乗り込んできて、制裁を受ける。

 

生まれたときから破滅することが決まってたような男の話だった。