読書感想: しろがねの葉
- 著者: 千早茜
- 読んだ感じ: 2.5 (1-3)
- 読んだ時期: 2025年4月
戦国末期の百姓の家で生まれたウメが、幼少時代に色々あって家族と離別して石見銀山の村にたどり着き、山師である喜兵衛に拾われて一緒に暮らす話。
銀掘りの仕事は間歩と呼ばれる坑道に入り、暗闇の中で銀をノミとかで掘り出す過酷な作業である。ウメは生まれつき夜目が効き、それを喜兵衛に見初められて銀山の手子として働く。ゆくゆくは他の男子と同じように銀掘りになることを目指していたウメだが、成長して女になるにしたがい、野郎ばかりの仕事場である銀山において周りとの折り合いがつかなくなり、間歩に入ることを禁じられる。
同じタイミングで、戦国時代が終わり、徳川家の息のかかった役人が銀山を訪れ、それまで個々の山師が自分の裁量で切り盛りしていた銀掘りを、組織化された一大土木事業に仕立てる。山師である喜兵衛は居場所を失い、酒ビタリになった後、ウメの元から姿を消す。
銀掘りの夢と、銀掘りの師匠であり唯一の家族でもあった喜兵衛を失ったウメは、それでも女として人生を生きていく。銀掘りの仕事は過酷であり、30をすぎれば肺をやられて死に至る。ウメにとって大切な男は次々に死ぬか姿を消していく。自分の息子も、銀掘りになり死んでいく。それでもウメは間歩で生き続ける。
有り体にいうと男社会で生きる女の辛さ、たくましさを描いた話だけど、山におけるウメの生き様がかっこよくて美しい。