• 著者: 米澤穂信
  • 読んだ感じ: 2 (1-3)
  • 読んだ時期: 2025年4月

 

米澤穂信の短編ミステリー集。

 

全体的に暗いトーンであり、報われない結末が多い。誰もが持っているかもしれない人間の闇の部分が描かれている感じがした。個人的には、同居する女の浮気を疑って女を殺そうとする男に発砲し、殉職した警察官の真相を暴く「夜警」がよかった。

 

実の父親を愛してしまい、母から父親を奪った挙げ句に、姉妹で父親を奪い合う「柘榴」の話は、面白かったのだが、同じように2人の娘を持つ僕からすると、んなわきゃねえだろ というツッコミが頭をよぎった。

 

淡々とした描写が多いので、真相が語られる場面も、ちゃんと読まないとついていけなくなることがある。本のタイトルにもなっている「満願」は、犯行現場に置かれた達磨が事件の真相に関係するのだが、いまいちよく分からなかった。