読書感想: 蜩の記
- 著者: 葉室麟
- 読んだ感じ: 1 (1-3)
- 読んだ時期: 2025年4月
徳川時代の羽根藩の武士であり、ある出来事がきっかけで、3年後に切腹を言い渡されている戸田秋谷のもとに、城内で不祥事を起こしてあわや切腹沙汰になりかけた檀野庄三郎が、家老によってお目付け役として派遣された。庄三郎に与えられた命は、秋谷が切腹前に逃亡しないかを見張りつつ、秋谷が行っている家譜の編纂状況を逐一報告すること。羽根藩には藩主の血筋に関わるある秘密があり、その秘密が家譜によって公になることを恐れた家老が、庄三郎を秋谷のもとに派遣した。秋田には極めて精錬潔白な人物であり、庄三郎は少しずつ秋谷に惹かれていく。
羽根藩の秘密はつまるところお家騒動であり、個人的に血筋とかにあまり興味がないので、興味を持って読むことができなかった。秘密の真相はかなり丁寧に説明されているのだが、丁寧であるがゆえに登場人物が膨大であり、また、同じ人物を名字で呼んだり名前で呼んだりする、年を取ると名前が変わるといった、歴史小説あるあるトラップが幾重にもかけられており、途中で理解するのを諦めた。
基本的には勧善懲悪のストーリーであり、秋谷とその家族がひたむきに生きる様は読んでいて気持ちが晴れる部分もあるのだが、水戸黄門とか鬼平犯科帳のような時代劇を見ているような既視感があり、新しさや意外性がなかった。