読書感想: そこへ行くな
- 著者: 井上荒野
- 個人的な印象: 2 (1-3)
- 読んだ時期: 2025年10月
お節介な老人が住人の大半を占める団地に夫婦で引っ越して、老人の野卑な興味の対象になって暮らす女性とか、中学時代の同級生同士で、酔った勢いで乱交パーティーじみたことをしてしまった中年5人組といったような、日常生活の中でにっちもさっちも行かない状態に陥った人間の顛末が語られている話。話は唐突に終わり、その後の顛末は楽観的にも悲観的にもそれ以外にも解釈可能であり、読者の想像に委ねられている。
クラスの中心的なグループに所属しながらも病を患う母親が死にゆくさまを何もできず見守る中学男子が、クラスの中で孤立してイジメにあっている有栖川泉と心を通わせていく話が何ともいえず良かった。