• 著者: 篠田節子
  • 個人的な印象: 1.5 (1-3)
  • 読んだ時期: 2025年11月

 

裕福な家庭に育ちながら、私財を投げ売ってアル中とかDVとかの問題を抱える女性の社会復帰を支援する施設を運営する小野尚子が、火災で逃げ遅れた女性を救おうとして焼死したが、警察の検視の結果、その人物が小野尚子ではないことが明らかになり、その人物は何者なのか、いつから小野尚子と入れ替わっていたのかを、施設で働く中富優紀がフリーライターの山崎知佳とともに追求していく話。

 

ネタバレになるが、結論としては、小野尚子がフィリピンを訪問した際、結婚相手を殺して保険金をだまし取ったりして生きてきた自称女優の半田明美というろくでもない女に殺されて、入れ替わられていた。半田明美は男を騙せなくなったので、小野尚子になりすまし、そのうち小野尚子の財産を丸ごと盗もうと思っていたのだが、小野尚子として生きているうちに、小野尚子以上に小野尚子になっていた。

 

半田明美が、小野尚子になりきるために鏡張りの部屋で自分を徹底的に殺しつつ、自我を保つために自分が半田明美であることを執拗に日記に書きつける様子が狂気じみていた。

 

面白かったのだが、話が長い。入居中の女性の母親に宗教じみた詐欺に遭いかける場面とかは別にいらなかったのではと思う。